近畿・中国・四国

道後温泉本館と道後温泉(愛媛県松山市)

道後温泉本館と道後温泉道後温泉本館は1894年建築の公衆浴場で、ほぼ建築当時の姿を留めている。温泉利用者のための建築と、それを含む街全体が一体となって、独特の歴史的風致が形成されている。建築として貴重な本館とそれをとりまく街の景観は、長い時間をかけて作りだされたものであり、そのなかに道後温泉独特の雰囲気が溶けだしている点が評価される。また、その全体が市内外の多くの人々に親しまれている点も重要である。 [地図]

道後界隈と道後温泉駅(愛媛県松山市)

道後界隈と道後温泉駅道後界隈の空間は、温泉街の景観を形成し、伊予鉄道の温泉駅との連続したアプローチ空間が人を迎える風景となっている。温泉駅は、街づくりを念頭に再建築されたもので、街の風景を作り出す役割をしている。道後温泉は、古代より知られた温泉というその歴史性からも高い固有価値を有するが、温泉のみならず、周辺景観をよく考慮したうえで全体の街づくりがされている点が、現代に生きるランドスケープ遺産の良例として評価される。 [地図]

高開の石積み段々畑(徳島県吉野川市)

高開高開(たかがい)集落の急傾斜地に広がる段々畑。全ての段は石積みで作られており、今でも修復しながらそれを維持している。徳島の中山間地の特徴である斜面集落の典型的な事例であるといえるが、この規模や保全の状態を保っているのは珍しい。土が集まりやすい谷の部分が農地として利用され、岩盤が近い尾根上に家が立つなど、土地利用への知恵も垣間見られる。 [続き・地図]

大里地区の生け垣(徳島県海陽町)

大里徳島県のほぼ南端、高知県との境に位置する。大里(おおさと)は江戸時代、土佐藩に対する守備隊として配置された海部城の「御鉄砲」が居住していた地区である。海岸沿いの松林から一歩入ったところに、周囲の漁村とは全く異なる様相を呈している一角がある。入り組んだ迷路のような町割りで、各家には庭があり、それを槇や竹の生け垣が取り囲んでいる。建物は建て替えが進んでいるが、町割りや生け垣は今でも保たれている。 [地図]

椿泊の町並み(徳島県阿南市)

椿泊水軍の本拠地として栄えた椿泊(つばきどまり)の町。細長く奥の深い入り江を形づくる半島の入り江側に位置する、約2kmの町並み。このエリアは、車一台がぎりぎり通れるほどの狭隘な道路であり、山と海に挟まれた土地を使い込んできた漁村特有の雰囲気が今なお色濃く残る。また、町並みの中には、古い家も点在する。これらの家の雨戸や窓枠、2階の欄干などには細かな彫り模様が施され、ここが漁村としても栄えていたことをうかがわせる。 [地図]