「ランドスケープ」は、人間と環境(土地・自然)との関わりが表れている全体的な姿と捉えられます。ランドスケープは移り変わっていくものですが、将来に向けて継承したいものもあるはずです。そうした個性豊かなランドスケープが地域らしさの維持や形成に深くかかわります。このような資産を「ランドスケープ遺産」と呼ぶこととします。それは必ずしも古いものとは限らず、将来に受け継ぎたいという思いが遺産という価値を与えるものです。またそれは誰かが一方的に決めるのではなく、地域の人々がその価値を見出し、共有することではじめて意義をもつものです。
ランドスケープ遺産を身近なところから具体的に考える作業は、各々のランドスケープの価値についてその時間・歴史を踏まえつつ本質的に考え、かつその実社会での扱い方を議論する創造性に満ちた取り組みと捉えられます。この考えにもとづき、日本造園学会では、ランドスケープ遺産の評価・保全・活用に関わる活動を行っています。
人と土地・自然の関わりの諸相の表れである多様なランドスケープについて、次世代に継承していくための遺産と位置づけその価値の捉え方などについて議論を重ねています。
全国の多様なランドスケープ遺産を評価して目録として記載し、環境保全やまちづくり等の地域マネジメントに活用し得る基礎的情報を整備することに取り組んでいます。
価値あるランドスケープ遺産が周辺を含む開発計画等によって改変や消失が予想される際など、学術的立場からその保全・継承について要望・提言等を行っています。