近畿・中国・四国

倉敷市美観地区(岡山県倉敷市)

倉敷市美観地区江戸時代に栄えた本瓦葺塗屋造りの町家と土蔵造りの蔵を中心とする町並み。白色漆喰仕上げになまこ壁のコントラストが特徴的で、景観の中核は倉敷川の水と緑で構成されている。町家を改修した店舗が活発に展開されている。中核をなす倉敷川の水と緑が、町並みを構成する優れた意匠の建物と相俟って、傑出した景観美を構成している。さらに、古い建物がそのまま店舗などに活かされており、現代生活との融合の観点からも評価できる。 [地図]

鬼ノ城をめぐる遊歩道からの景観(岡山県総社市)

鬼ノ城鬼ノ城(きのじょう)は国内最大級(約30ha)の古代の朝鮮式山城と言われる。7世紀後半と推定。古代の瀬戸内海の主要航路があったと言われる「吉備の穴海」(現在の岡山平野の一部)を一望できる。桃太郎伝説の元になったと言われる温羅(うら)伝説の舞台とされるが、未解明の点が多い。岡山平野を眼下にとらえつつ、門(復元)や土塁(修復)、石垣などを巡る景観は傑出している。また、古代日本の歴史を地方の視点から探究する場としても貴重である。 [地図]

笠岡諸島白石島(岡山県笠岡市)

笠岡諸島白石島瀬戸内海国立公園のほぼ中央に位置する笠岡諸島のひとつ。面積約2.96k㎡の島の各所に花崗岩が露出する。中央部には標高130m~170mの峰々が連なっており、頂上からは花崗岩の岩肌の白さと海・空の青さ、木々の緑、家並みが織りなす独特の景観を望むことができる。花崗岩(白)と海(青)と山(緑)のコントラストが美しく、岡山県における瀬戸内海の多島美のひとつの典型として評価される。(かさおかしょとうしらいしじま)  [地図]

岡山後楽園(岡山市北区)

岡山後楽園江戸時代の回遊式庭園で面積は13.3ha。1687年に着工、1700年には一応の完成をみる。現在は、隣接する岡山城・旭川と一体的に都心に水と緑の空間を提供しており、イベントなど多彩な使われ方をしている。現代に継承される大名庭園の代表であることに加え、高密度に拡散した市街地に良質な水と緑の空間を提供している現代的意義も高く評価される。 [地図]

犬島製錬所跡(岡山市東区)

犬島製錬所跡瀬戸内海に浮かぶかのように見える銅の精練所跡(操業1909年~1919年)が独特の雰囲気を醸す。遺構を生かしたアートイベント、美術館の開館(2008年)など、近年盛んに活用がなされている。製錬所の遺構とそれに融合するデザインの美術館が、一体的に海に浮かぶかのような風景は唯一無二のものである。加えて過疎と高齢化が進む島の再生のシンボルとなる可能性を有する点からも評価できる。(いぬじませいれんじょあと) [地図]