近畿・中国・四国

琴ヶ浜(高知県芸西村)

琴ヶ浜延長4kmの大規模な海浜とクロマツ林で構成される。クロマツ林は、古くから後背地の集落や水田を塩害や飛砂から守ってきた。浜では地引き網漁が行われている。琴ヶ浜(ことがはま)は月の名所でもあり、毎年9月には観月会が催されている。高知県でも有数の大規模な海浜とクロマツ林が残る海岸であり、希少性を有する。地域住民の生活・生業文化との繋がりも強く、その観点からも評価される。 [地図]

入野松原(高知県黒潮町)

入野松原砂浜、海浜植生、クロマツ林、後背地の畑地から構成された入野(いりの)松原の景観。塩害や飛砂から後背の集落や畑地を守るために植林された延長4kmのクロマツ林は、16世紀に起源をもつとされる。近年、NPO法人砂浜美術館によるTシャツ展やキルト展など、松原や砂浜などの資源を活かした多くのイベントが開催されている。高知県でも有数の大規模な海岸クロマツ林で、砂浜には貴重な海浜植物が自生しており、生態学的価値も高い。地域資源としても積極的に活用されており、社会性も評価される。 [地図]

大岐浜と海岸林(高知県土佐清水市)

大岐浜海浜、海浜植生、常緑広葉樹林からなる大岐浜(おおきはま)の海浜景観。海岸林は、江戸時代からクロマツが植えられてきたが、現在は松枯れによってタブノキの二次林になっている。海岸林には遍路道が残る。高知県でも有数の大規模な海浜植物の自生地であることに加え、広葉樹の海浜砂丘林は全国的にみても貴重である。海岸線に残る遍路道は希少性が高く、豊かな自然と信仰が織りなす景観としても傑出している。 [地図]

野良時計と周辺の田園景観(高知県安芸市)

野良時計明治時代、地主であった畑中源馬が建てた櫓時計が、周辺に広がる田園景観のなかに収まっている。「野良時計(のらどけい)」と称されるように、畑仕事をする人々に時を知らせるのに役立っていた。平成16年まで時を刻み続けていたが、現在は止まり、イベント時などに臨時で稼働している。近年、地元住民の協力のもと、時計前に季節の花を植える取組みが進んでいる。歴史的建造物と周辺の田園景観が一体となって、地域住民の生活・生業に根ざした固有の景観が形成されている。 [地図]

衣ヶ島(高知県高知市)

衣ヶ島高知市の浦戸湾内にある島で、ツヅキ島、ナガツツヅキ島、玉島の3つの島から成る。植生が原生状態であるなど、希少性、学術性において優れた自然環境を有し、市の特別自然保護地区にも指定されている。ツヅキ島と玉島には神社があり、この豊かな自然が信仰と共に継承されてきたことがうかがわれ文化的価値も高い。干潮時には島の周辺が干潟となり、干潟がほとんど残存しない浦戸湾において、潮干狩りの光景がみられる数少ない場所としても貴重である。(きぬがしま) [地図]