和歌山県は温州みかんの栽培では近世以来の歴史をもち、紀伊国屋文左衛門の逸話でも知られる。現在でも柑橘類の栽培面積・出荷量とも日本一。中でも紀中地方の有田川沿い南岸ではその栽培が盛んで、晩秋から初冬にかけて、傾斜地、平地を問わずみかんが鈴生りになる。水はけのよい土地、温暖な気候などみかん栽培に適した自然条件のもと、この栽培において全国に先駆ける歴史を持つ。地域の風土や歴史と密接に関わる農業景観として、和歌山県を代表する「生業の景観」である。 [地図]
地域:近畿・中国・四国
和歌山県北東部を流れる紀の川流域は、全国有数の柿の産地。和泉山脈の中腹に点在する四郷(しごう)地区の集落では、11月から12月にかけて農家の軒先や「柿場」と呼ばれる干し場におびただしい数の柿の玉暖簾が吊るされる。山荘集落の晩秋から初冬にかけての風物詩。周囲の緑と柿色のコントラストが明快で美しい。交通不便な山間地であるため知名度は高くないが、山間地の農業景観として、和歌山県における「生業の景観」の代表事例である。 [地図]
地域:近畿・中国・四国
紀伊山地の中心を成す長峰山脈の一部で、古くは応神山と称し、周辺の眺望絶佳の生石ヶ峰山頂付近(標高約870m)には緩やかな緩斜面が広がり、ススキの大草原を形成している。近世以来、信仰の対象として、また、良好な眺望の対象として知られていたが、県立自然公園指定後、草原植生の保護の観点から、人為による積極的管理が行われており、時代の趨勢とともにその特質を変化させている点が重要である。(おいしみね) [地図]
地域:近畿・中国・四国
見老津沖に所在する「陸ノ黒島」と「沖ノ黒島」を主景とする海岸・島嶼の風景。両島とも無人島で豊かな自然環境が保存されているとともに、「陸ノ黒島」と陸地との間が浅瀬を形成して合わせ波が寄せる風景が特徴的である。国道42号線の改良工事完了・開通に伴い、戦後に認知度が高まったもの。(くろしま) [地図]
地域:近畿・中国・四国
那智勝浦港周辺に展開する多様な海岸・島嶼の風景。近世以降、温泉地として栄えてきた。中島、狼煙山の南角、呑取山の峭壁及び一円の諸島を「紀ノ松島」と俗称するが、半島状に延びる狼煙山北東部に広がる多様な海岸地形と半島部付け根北方に位置する辨天島などを含む一連の景勝地。 [続き・地図]
地域:近畿・中国・四国
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