大里地区の生け垣(徳島県海陽町)

大里徳島県のほぼ南端、高知県との境に位置する。大里(おおさと)は江戸時代、土佐藩に対する守備隊として配置された海部城の「御鉄砲」が居住していた地区である。海岸沿いの松林から一歩入ったところに、周囲の漁村とは全く異なる様相を呈している一角がある。入り組んだ迷路のような町割りで、各家には庭があり、それを槇や竹の生け垣が取り囲んでいる。建物は建て替えが進んでいるが、町割りや生け垣は今でも保たれている。 [地図]

椿泊の町並み(徳島県阿南市)

椿泊水軍の本拠地として栄えた椿泊(つばきどまり)の町。細長く奥の深い入り江を形づくる半島の入り江側に位置する、約2kmの町並み。このエリアは、車一台がぎりぎり通れるほどの狭隘な道路であり、山と海に挟まれた土地を使い込んできた漁村特有の雰囲気が今なお色濃く残る。また、町並みの中には、古い家も点在する。これらの家の雨戸や窓枠、2階の欄干などには細かな彫り模様が施され、ここが漁村としても栄えていたことをうかがわせる。 [地図]

美咲と久米南の棚田(岡山県美咲町・久米南町)

美咲と久米南の棚田(北庄)岡山県は全国でも棚田面積の多い県である。2005年農林業センサス実施時点で、9,572ha(全国3位)、4,809箇所(同2位)。その中でも、対象地区の棚田は良好な景観を維持している。美咲(みさき)町の大垪和42.2ha、久米南(くめなん)町の北庄88ha、上籾22ha。一方で、後継者不足など、その永続的な継承には課題が多い。農林水産省認定の「日本の棚田百選」にも選出されており、岡山はもちろん、日本を代表する「生業の景観」の典型事例として、高く評価される。 [地図]

吹屋(岡山県高梁市)

吹屋吹屋(ふきや)は、江戸初期から銅山の町として栄え、特に江戸後期からはベンガラ製造(1707~1974年)で栄えた地区。その繁栄を背景に、石州から宮大工を招き町並み形成がなされた(江戸後期~明治期)。赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観で統一された町並みが緑の山中に忽然と現れる。山間部における意匠に優れた町並み(赤)と周囲の山々(緑)が作る景観に希少価値がある。また、地域住民が中心となって町並み景観の再生・保全に取り組み続けており、地域社会との繋がりという点からも高く評価される。 [地図]

蒜山高原(岡山県真庭市)

蒜山高原岡山県北部、鳥取県との境に位置する高原地帯。上蒜山(1,202m)、中蒜山(1,122m)、下蒜山(1,100m)および鳥取県の独立峰大山(1,729m)を望むことができる。ジャージー牛の放牧風景が特徴的で、避暑地として人気が高い。標高1000m超の山々と放牧地等で構成される雄大かつ牧歌的な景観は、岡山県でも傑出しており、多くの人々を誘引している。(ひるぜんこうげん) [地図]