近畿・中国・四国

生石嶺(和歌山県有田川町・紀美野町)

生石嶺紀伊山地の中心を成す長峰山脈の一部で、古くは応神山と称し、周辺の眺望絶佳の生石ヶ峰山頂付近(標高約870m)には緩やかな緩斜面が広がり、ススキの大草原を形成している。近世以来、信仰の対象として、また、良好な眺望の対象として知られていたが、県立自然公園指定後、草原植生の保護の観点から、人為による積極的管理が行われており、時代の趨勢とともにその特質を変化させている点が重要である。(おいしみね) [地図]

黒島(和歌山県すさみ町)

黒島見老津沖に所在する「陸ノ黒島」と「沖ノ黒島」を主景とする海岸・島嶼の風景。両島とも無人島で豊かな自然環境が保存されているとともに、「陸ノ黒島」と陸地との間が浅瀬を形成して合わせ波が寄せる風景が特徴的である。国道42号線の改良工事完了・開通に伴い、戦後に認知度が高まったもの。(くろしま) [地図]

勝浦海岸(和歌山県那智勝浦町)

勝浦海岸那智勝浦港周辺に展開する多様な海岸・島嶼の風景。近世以降、温泉地として栄えてきた。中島、狼煙山の南角、呑取山の峭壁及び一円の諸島を「紀ノ松島」と俗称するが、半島状に延びる狼煙山北東部に広がる多様な海岸地形と半島部付け根北方に位置する辨天島などを含む一連の景勝地。 [続き・地図]

和歌の浦(和歌山市和歌浦)

和歌の浦和歌川の河口に広がる干潟・砂嘴・島嶼などが織りなす自然景観に、社寺や橋梁などの人文的景観が調和した景勝の地。万葉の頃より山部赤人の短歌で広く知られ、江戸初期から藩主が霊地として保護整備した。古代から近現代に至るまで重層した景観が遺され、和歌山はもちろん、日本を代表する海浜の景勝地として高く評価される。 [地図]

濱口吉右衛門家庭園(和歌山県広川町)

濱口吉右衛門家庭園濱口家の庭園には近世・近代二つの庭園があり、後者は規模こそ大きくないが、特徴ある意匠の池泉庭園である。木造三階建の近代和風建築の南西に、二階広縁まで石組を積み上げ、そこから庭に降りることができる。上から眺める庭園でもある。施主の濱口要所は東京日本橋廣屋の主人であると共に、近代産業人として活躍した人物である。近代庭園らしく自由な発想のもと作庭され、二階まで庭石を積み上げるなど、意匠性に富む。(はまぐちきちえもんけていえん) [地図]