近江八幡の水郷(滋賀県近江八幡市)

近江八幡の水郷琵琶湖の東岸、近江八幡市の北東に位置する西の湖とその周辺にはヨシ原が広がる。点在する独立山塊の南面には、裾野をぬうように集落が分布している。水面、ヨシ原、水田、集落、里山が一体となった景観が特徴である。ヨシ葺屋根やヨシ作業小屋が数多く現存し、舟着場の跡や湖中水田の地割が残り、内湖と密に関わりながら暮らしてきた地域の歴史を伝えている。内湖沿岸の生業に支えられた、地域の文化的景観としての価値を有する。 [地図]

田村山(滋賀県長浜市)

田村山琵琶湖集水域には、湖東を中心に独立山塊が点在する。田村山(たむらやま)は麓からの比高50mほどの山塊で、最寄りのJR駅から徒歩15分で稜線に立ち、琵琶湖や伊吹山を一望することができる。近隣の集落によって里山として活用され、近世には境界線争いが生じた経緯がある。琵琶湖集水域の沿岸部に立地する独立山塊の頂部は、琵琶湖に対する良好な眺望点としてのポテンシャルを有すると考えられる。市街地から徒歩圏内にある数少ない実例として重要である。 [地図]

長浜市高月町唐川の一本杉(滋賀県長浜市)

高月町唐川の一本杉湖北地方の集落には「野神さん」と呼ばれるケヤキやスギなどの巨木が現存する。本例は高月町唐川(たかつきちょうからかわ)地区にある樹齢400年のスギである。稲作守護神への信仰を背景に当地の景観を長年形成してきたシンボル要素として重要である。 [地図]

東近江市五個荘川並町の板塀(滋賀県東近江市)

五個荘川並町板塀五個荘川並町(ごかしょうかわなみちょう)は伝統的建造物群保存地区に指定され近江商人発祥の地として著名な五個荘町金堂地区に隣接する地域であり、木造船の廃材が用いられた板塀や住戸壁が街路を構成している。舟板による伝統的な意匠の塀や住戸壁で構成される街路景観の現存例として重要である。金堂地区の周辺で家屋の建て替えや住宅開発が進む中、伝建地区に対する歴史的街並景観のバッファーゾーンとしても重要である。 [地図]

甲賀市信楽町長野の登り窯(滋賀県甲賀市)

信楽登り窯日本六古窯の1つ信楽(しがらき)焼の産地である。かつては傾斜地を利用し細長い部屋を連ねた登り窯で焚き上げられていたが、現在は煤煙問題のため使用されていない。本例は窯元の尽力により展示および交流施設として再生されたものである。当地には複数の登り窯が遺構として現存するが、見学の可能な希少例である。傾斜地の多い地域特性に応じた登り窯による製陶空間の実例として重要である。 [地図]