坂越の街並みと生島の原生林(兵庫県赤穂市)

坂越千種川の高瀬舟の舟運と瀬戸内海の大型廻船とを結ぶ坂越大道を中心に発展した坂越(さこし)の港町で、古い街並みが保存されている。沖合に浮かぶ生島(いきしま)は港町の氏神である大避神社の神域として古来立ち入りが禁じられ、暖温帯の樹林を原生状態で残す。千種川と瀬戸内海の重層した地形特性と対応した伝統的な暮しが表出した特異な街並みを今に伝え、湾前面の生島の原生林、背後の山とともに一体となった情緒あふれる港町の景観をつくり出している。 [地図]

甲子園浜(兵庫県西宮市)

甲子園浜都市化した大阪湾の湾奥に残った自然海浜と干潟で、海浜植物や渡り鳥の生息地となっている。鳥類の生息地としてその希少性が学術的にも評価されている都市部では貴重な自然海浜であり、住民による埋立反対運動や、各種環境保全活動により今日まで残存・維持されている点が評価される。 [地図]

法華口駅舎と周辺の景観(兵庫県加西市)

法華口駅舎北条鉄道法華口(ほっけぐち)駅の駅舎は、1915年に建てられた木造建築で、当時の大正初期の建築を残す貴重なものである。駅舎の周囲には田園が広がり、古い駅舎と農空間の構成が独特の趣のある景観を形作っている。当駅は北条鉄道の中間駅でもあり、一乗寺の参拝入口としての機能をもっていることから、地域住民だけではなく周辺域の参拝者からも親しまれている。駅舎の貴重性と、周辺の田園景観の普遍性、さらにそれを成立させてきた住民による維持管理の積層が生み出す、貴重なランドスケープ遺産である。 [地図]

石の宝殿ならびに採石空間の景観(兵庫県高砂市)

石の宝殿石の宝殿は奈良時代初期編纂の「播磨国風土記」やシーボルトの「日本」(1852年)にも記載されており、その周辺は「竜山石」の採石場として生活・生業が営まれている。古代から現代まで継続して採石が続けられてきた地域であり、固有の風土と信仰、生活・生業文化が創り出してきた空間である。兵庫県内でもこれだけの規模の採石場は無く、非常にダイナミックな景観を呈している。 [続き・地図]

太山寺安養院庭園ならびに塔頭庭園と原生林(神戸市西区)

太山寺安養院庭園安土桃山期の国名勝の安養院(あんよういん)庭園と江戸後期の作庭とされる成就院庭園、歓喜院庭園が纏まって太山寺(たいさんじ)境内に現存する。なかでも安養院の枯山水庭園は、借景として太山寺の原生林を取り込んでいることから、小さいながらも雄大さを兼ね備えた庭園となっている。この原生林は、環境省の重要地域種別Aに指定されている貴重な山林である。 [続き・地図]