奥永源寺地域の茶園景観(滋賀県東近江市)

奥永源寺茶園鈴鹿山脈より琵琶湖に注ぐ愛知川源流域(奥永源寺・おくえいげんじ・地域)では、近世より銘茶「政所茶」の栽培が行われてきた。ヤブキタによる大規模集約型の茶園と異なり、長年当地で受け継がれてきたヤマチャの小規模な茶園が渓谷沿いに点在する。伝統的な整枝及び更新法と手摘み収穫により、茶樹は株仕立の形状である。周囲のススキを地表に敷き、落葉や油かすを肥料としている。 [続き・地図]

杉野の水路(滋賀県長浜市)

杉野湖北の中山間集落の生活を支えてきた農業用水路であり、その水は生活用水としても使われてきた。集落の上流側で杉野(すぎの)川より取り入れられる水が、山際に沿う幹線水路を流れ、枝分かれする支線水路が家屋と農地を潤す。水路は現在も機能しており、中山間集落における水系と生活空間との関係を現代に伝える実例として重要である。 [地図]

伊庭の水郷(滋賀県東近江市)

伊庭の水郷湖東の伊庭(いば)内湖沿岸に形成された水郷集落である。瓜生川より導水される水路網がほとんど開渠のまま現存する。かつては水運の他、生活・農業用水として活用され、祭の神輿も舟で湖岸まで運ばれたという。各家には水路に続く石段があり「カワト」と呼ばれる。水路網は景観用水や防火用水として現在も機能し、伊庭内湖も干拓されず現存しているため、かつての水郷集落の景観を現代に伝える希少な例である。 [続き・地図]

沙沙貴神社庭園(滋賀県近江八幡市)

沙沙貴神社庭園鈍穴こと勝元宗益が1889年に作庭したと伝わる庭園である。沙沙貴(ささき)神社境内の拝殿西側にある矩形の敷地(面積148㎡の)に、池が設えられ、その奥に築山と景石が配置されている。庭造図絵秘伝に描かれた三尊石を彷彿させる、立石によるダイナミックな石組構成が特徴の庭園である。鈍穴が作庭書に描いた垂直性の強い石組の希少な現存例として重要である。 [地図]

西ノ京大池から薬師寺、若草山への眺望(奈良市)

西ノ京大池から薬師寺、若草山への眺望万葉集にも詠われた大池の広大な水面の先に、薬師寺東西の塔、遠方には若草山など東部の山並みを望むことができる。奈良盆地の代表的な眺望として写真や絵画を通じ広く知られている。特に若草山の山焼き(毎年1月第4土曜日に実施、山全体を燃やす一大伝統行事)の際には、カメラマンが押し寄せる人気の撮影スポットとなっている。奈良の名所として、絵画や写真を通じて多くの人々に親しまれてきた景観であり、その地域性・社会性が高く評価される。 [地図]