伊庭の水郷(滋賀県東近江市)
湖東の伊庭(いば)内湖沿岸に形成された水郷集落である。瓜生川より導水される水路網がほとんど開渠のまま現存する。かつては水運の他、生活・農業用水として活用され、祭の神輿も舟で湖岸まで運ばれたという。各家には水路に続く石段があり「カワト」と呼ばれる。水路網は景観用水や防火用水として現在も機能し、伊庭内湖も干拓されず現存しているため、かつての水郷集落の景観を現代に伝える希少な例である。また、家や擁壁の改修が進んでいるものの、カワト、舟板壁、常夜燈など、水と深く関わる生活様式を示す景観要素を見ることができる点も重要である。
地域:近畿・中国・四国