鳥潟会館庭園

ID:02TH-0003
名称:鳥潟会館庭園
よみ:とりがたかいかんていえん
大分類:C.時代・文化の中で価値付けられた空間・景観(同上)
所在地:〒017-0005 秋田県大館市花岡町字根井下156
概要:京都風の手法が見られる、県内の代表的な庭園。 鳥潟会館は代々肝煎を務めた鳥潟家の屋敷で、約300年の歴史があり、京都帝国大学名誉教授で日本外科学会会長を務めた鳥潟隆三(1877~1952)により、増改築と庭園の拡張を行う。建物は昭和11年(1936年)から約5年の歳月をかけ、京都を中心に活躍した成行兼太郎をはじめ、延べ1000人を超える大工・左官等の手により補修、増築されたもので、庭園もこの時に作庭された。昭和26年(1951年)に旧花岡町に寄贈されて現在は大館市が管理し一般公開されている。
面積等諸元:敷地面積:8191㎡ 池面積377㎡ 建築物:主屋 茶室 茶室待合 四阿(亭) 表門 中門 土蔵 主な樹木:ツツジ イチイ キャラボク モミジ等 66種約800本 主要石材:手水鉢5個、沓脱石7個、石灯篭12個
所有者等:大館市
管理者等:大館市
設計・施工者等:設計:粕谷幸作 (小川治兵衛 門弟)
成立年等:1935(昭和10)年から5年をかけて整備した庭園
履歴:1951(昭和26)年に当時の花岡町に土地と建物が寄付され、2011(平成23)年には建造物が秋田県指定有形文化財となる。庭園は2011(平成23)年に県指定名勝になったのち、2024年(令和6)年10月11日、国指定名勝となった。
固有価値:明治・大正期にかけて流行した京都の庭師・小川治兵衛の作風である植治流の明るい自然的な庭園である。各地から吟味された庭園良材の鑑賞価値は高い。庭の中心の五稜池には東側から出島が突き出て変化にとんだ地割を構成し、アカマツやイロハモミジ、ツツジなどが池と調和するように植栽され、優雅さを醸し出している。池の水は庭園の一角にある井戸から引かれており、滝から流れ出て池へと注ぎ込んでいる。 表門の敷石、縁側の沓脱石、五稜池の船着石といった庭の要所には見事な鞍馬石が配石されている。これだけの大きな鞍馬石は今では採取が困難である。また縁側にある巨大な鳥海石の手水鉢は風格があり、鞍馬石とよく調和している。 表門から中門への園路は、大きく曲折しており庭に重厚感と奥深さを与えている。園路左手のイチイの並木も訪れる人の目をひきつけてやまない。池の西側にある州浜は自然のさりげない景観を表現するために取り入れられたものである。 園内には茶庭もあり、待合、台目一畳茶室で構成され、四方仏の手水鉢や風雅な置灯篭が配されている。また、茶室待合の脇にはユリノキの大木がある。これは大正6年に隆三が留学先のスイスから苗木を持ち帰ったものである。 庭園の設計は、京都の庭師・小川治兵衛の門弟である粕谷幸作によるもので昭和10年4月6日から作庭が開始され、約5年間で完成したことが過去の調査により判明した。鳥潟隆三が設計について事細かに指示し、京都から鞍馬石などの石材やツツジ等の低木類、福井若狭湾から池の景石が運び込まれている。隆三の庭へのこだわりが随所にみられる名園である。秋田県地域に造られた近代庭園の事例として、芸術上および鑑賞上の価値、日本の近代庭園史における学術上の価値が高いと評価され、正式に国指定名勝となった。
既指定:国指定名勝
保全管理主体:大館市
将来性:1:存続が安定的に期待される
画像の備考:画像は大館市より提供
提出日:2025/3/13
変更履歴:2025/3/13
地図:
地域:東北