渡邉氏庭園(新潟県関川村)

渡邉家庭園渡邉(わたなべ)家は、江戸中期(寛文年間)に村上藩の郡奉行から現地に定着し、酒造業・回船業を営んで隆盛を誇った。庭園は、その後三代目善延もしくは四代目善永の時代(享保年間)に、作庭されたと伝えられており、京都より遠州流の庭師を迎えて築庭されたといわれている。庭石には紀州・小豆島・鞍馬石などが多く使用されている。雪深い地であるため、降雪を配慮してか高木が少ないが、それゆえに石組が際立って見える。庭園の中心をなす池泉は心字型であり、一ノ山には不動石を立て枯滝を表している。越後の山深きこの地に、このような京風の庭があることは大変貴重な存在であろう。1948(昭和23)年から越後の庭師、田中泰阿弥によって修復され、1963(昭和38)年に国指定名勝庭園となった。現在は渡邉家保存会により大切に管理、保存されている。