温山荘園(和歌山県海南市)

温山荘園ニッタ(旧新田ベルト)の創業者新田長次郎の別邸庭園。潮入の池泉回遊式庭園である。全体の設計は自伝によると新田自身。広大な庭園は西に高さ30mの矢ノ島を擁しその東部分の中央に本館、本館を挟み東側と西側に池泉庭園を設ける。西側庭園が早く作庭され、ここでは紀州青石が多用される。数年遅れて作庭された東側は、長次郎が工夫した人造石が多く見られ、特異な景観を呈している。和歌山県に残存する、近代産業人による大規模庭園として貴重である。人造石使用など技術面でも先駆的であり、近代の潮入庭園としても希少価値を有する。(おんざんそうえん)