桜見本園(松前町)

桜見本園松前の町は道内唯一の城下町として栄え、城趾と背後の寺町周辺には、歴史を感じさせる建造物や樹木に包まれているほか、多くの観光客が訪れる桜の町として知られている。これらの桜は、江戸時代から受け継がれたものや、明治以降たくさんの「桜守」の手によって植え育てられてきた。中でも戦後、松城小学校に赴任した浅利政俊氏は、子供たちと桜の育種に取り組み、百種以上もの新品種を育成している。1965(昭和40)年には、松前城の隣接地に桜見本園が造成され、町内の桜や、浅利が育成した品種に加え、大阪造幣局の品種なども導入されて、全国有数の桜のコレクションを形成した。松前の桜は、単に観光地を彩る存在ではなく、町の歴史を表現するものであり、また代々の桜守とそれを支える町民の努力により、新たな歴史を紡ぎ続けている点で、極めて貴重である。