真田邸新御殿庭園及び松代城下町の泉水路と池庭群(長野市松代町)

真田邸新御殿庭園真田(さなだ)藩十万石の城下町が長野市松代町である。1864(元治元)年に九代藩主・真田幸教が松代城の南に新御殿を建てた。庭園はその時に作庭されている。自筆の書『水心秋月亭図巻』が残り、絵が添えられ、京都から庭師を呼び造ったと記されている。庭園には町の水路から水が入る。池が広がり、遣水が流れ、優美な姿を形成し、背後には山々を望んでいる。図巻の絵を参考にし、発掘調査の成果を踏まえて、庭園が復元整備された。一方、町には江戸時代からの水路網が残され、100カ所ほどの池庭の池に水が供給されている。しかも庭池から隣家の庭池へ水が直接流れる泉水路と呼ばれる珍しい水路が残されている。池庭の多くも江戸時代に起源を持つと考えられ、歴史性があるとともに、池と借景が共通の要素である。全国的にも貴重な、希少性を持つ池庭群である。