赤松街道(七飯町、函館市)

赤松街道江戸時代の和人の拠点は福山(松前)にあったが、江戸末期になると諸外国の捕鯨船が燃料や水を求めて開港を迫ってきたことから、良港のある箱館(函館)の比重が増してきた。1854(嘉永7)年に箱館奉行所が設置され、翌年に箱館が開港されるなど、北海道の窓口としての箱館の地位が確立されてくるが、そこで働く人達にとっては、故郷の松や杉の育った風景が懐かしいものであったと推察される。1858(安政5)年に、当時の箱館奉行組頭栗本瀬兵衛が、佐渡から赤松の種子を取り寄せて苗を育成し、奉行所のあった五稜郭に植樹したといわれている。そののち1872(明治9)年に、明治天皇が七重勧業課試験場に行幸されたのを記念して、札幌本道沿いに移植されたのが赤松並木の始まりである。新天地北海道の窓口に、日本風の松並木を育成しようとしたのは、北海道を開拓していく意気込みを示したものであろうか。140年の歳月を経て、道内には珍しい街路景観が創り上げられている。