奥入瀬(青森県十和田市)

奥入瀬奥入瀬(おいらせ)は戦前の1936年2月1日に指定された十和田八幡平国立公園の中にあります。農林省が進める十和田湖の水を利用しての三本木(現十和田市)の農業開発と内務省推進の十和田八甲田の山岳景観美を国立公園化する政策との板挟みとなって、国立公園となるまで3年近くの月日を要しました。こうして、十和田湖の水はその多くが農業用水としてトンネルを含む運河で下流の三本木に運ばれており、奥入瀬渓流は残った十和田湖水を観光放流として流している川なのです。ただ、水はそのように人によって管理され利用されていますが、奥入瀬は1万年近くをかけ十和田湖の水が削り取った高低差100メートルもある凝灰岩の崖下を流れる、透き通った渓流です。人工護岸が無いことでも有名です。その美しい景観から、国指定の特別名勝天然記念物にもなっています。十和田湖、奥入瀬を国立公園化するのに尽力された大町桂月が、“住まば日の本遊ばば十和田、歩きゃ奥入瀬三里半”と詠んでいるように、ぜひゆっくりとブナ原生林の中を歩いてみてください。