かき筏の浮かぶ虫明湾の景観(岡山県瀬戸内市)

虫明湾虫明(むしあけ)湾は、瀬戸内海の多島美の一部であり、古くから知られた景勝地である。一方、岡山県の海域はかき養殖の好条件を備え、全国3位の生産量を持つ。虫明湾を擁する瀬戸内市の平成24年のかき生産量は7,844t(県全体の43.8%)。虫明湾では昭和5年(1930)には、かきの養殖筏が設けられており、戦後に本格化した。虫明湾の優れた自然景観に、かき筏という人工物が加わったが、筏(いかだ)が整然と浮かぶさまが、自然景観を損なうことなく、かえって印象を強めている。生業の景観が、自然景観の価値を大いに高めている。