友ヶ島(和歌山県和歌山市)

友ヶ島「友ヶ島」は、瀬戸内海の紀淡海峡に浮かぶ地ノ島、虎島、神島、沖ノ島の総称である。大阪湾口部に位置する海上交通の要衝であり、明治5年(1872)には花崗石の切石積による白亜の洋式灯台が設置された。さらに軍事上の要衝でもあっため、明治20年代~30年代に陸軍により砲台の建設が進められ、由良要塞(当初は紀淡海峡要塞)の一部となった。戦後、砲台は取り壊されたが、煉瓦造りの砲台跡や弾薬庫跡等の遺構が点在しており、近年、廃墟愛好家含め多くの観光客が渡船にて訪れている。昭和25年(1950)に島全域が瀬戸内海国立公園の第2次指定対象地となり、島内にはウバメガシやヤマモモ、アカマツを主体とした貴重な海岸林および湿地生態系が存在する。廃墟となった明治期の砲台群と産業土木遺産的価値も高い友ヶ島灯台が、国立公園内の海岸林生態系の中に存在しており、静かで独特のランドスケープを形成している。