東西用水の南配水樋門(岡山県倉敷市)

南配水樋門岡山県三大河川の一つ高梁川は、農業用水の重要な供給源である一方、かつて度重なる洪水被害をもたらしていた。また渇水時には水争いが絶えなかった。このような背景から明治43年(1910)から大正14年(1925)にかけて大規模な河川改修工事が実施され、渇水時の水争いの解消と農業用水の適切な分配を目的とした取水樋門、配水池、配水樋門などが作られた。南配水樋門は、このうちの一つであり、現在も活用されている国内最大級の樋門である。15連のアーチ状の樋門からなる壮麗な外観を持つ。適切な配水のために、5つの農業用水ごとに異なる樋門数・門幅を有する。土木施設としての価値に加え、酒津公園内に位置し、公園の緑、配水池の水、背景の山々の緑と相まって美しい。歴史的土木遺産の機能的な美を、水と緑がさらに高めている事例である。