左沢の文化的景観(山形県大江町)

左沢の文化的景観平成25年に重要文化的景観に選定された「最上川の流通・往来及び左沢(あてらざわ)町場の景観」です。米沢・長井盆地と山形盆地とをつなぐ最上川の峡谷部に位置します。「楯山」を中心とする山稜区域には中世に大規模な山城が築かれ政治・行政上の拠点でしたが、その後近年まで薪炭材等を供給する里山として機能してきました。最上川を中心とする河川区域では、歴史的に河川舟運及び漁業などの生活・生業が営まれ、幕末に大規模な簗が設置された記録が残るほか、近代には茶屋が置かれ船頭衆で賑わいました。町場は、17世紀前半に左沢藩主となった酒井直次により小漆川城および城下町が築かれ政治都市として機能しました。さらに近世に米沢藩の蔵屋敷が設置されるなど河岸が発達したことで、山間部で産出された青苧などの取引を中心とする最上川舟運によって町場が発展しました。近代は鉄道敷設で駅前に新たな市街地が発達し、昭和11年の大火後に近世以来の地割りを継承して道路拡張が行われるなど、時代に応じて展開した町場の構造が重層的に表れています。